癌(がん)と発癌物質のニュースと解説

特定保健用食品(トクホ)に科学的根拠はありません
政治家に翻弄(ほんろう)される国民の食生活

2024/09/21
最終更新:2026-09-10

紅麴のサプリメントが話題となり、特定保健用食品と機能性表示食品制度が疑義の対象となっていますが、当初から「サプリメントと医薬品」、「素材の合成と天然」が関係者により混同、誤解されていたことが原因でしょう。

50年ほど前が、いわゆるサプリメントの隆盛期。
当時から市場に注目していたノギボタニカルではプロポリス、グルコサミン、CoQ10 などいくつかの商品を輸入して販売していましたが、先端を切ってブームを作っていた米国では一攫千金を狙う参入者が多く、事故が絶えませんでした。
米国には欧州、インド、アジア、中南米の伝統医療が使用する薬物をサプリメントに採用してきた歴史がありますが、鉱物、動物由来を除いたほとんどが植物毒のアルカロイド由来。、サプリメントというより、専門外の人々には用法が難しい医薬品の領域です。
本来はOTC(店頭販売医薬品)にすべきものでもありません。
米国でも旧来のサプリメント製造会社は、20年以上前から多くの従来品の取り扱いを止め、昨今では、想像が出来ないほどアイテムが狭まっています。

サプリメントは長期摂食の安全性を最も配慮すべき免疫力強化補助食品、英字訳どおり食生活の補助食品(Dietary Supplement)です。
したがって歴史ある食用天然素材をベースに作られることが大前提でスタートしています食用天然素材をベースにすることの意義は、食用としての永年の実績が長期間摂食の安全性を立証しているからです。
したがって、長期間摂食するサプリメントで最も重要なのは食事並の摂食量に限ることです。

一方、副作用覚悟で短期間、スピーディに病気を治療するのが医薬品であり、発見した有用成分を化学合成して均一な製品を作っています。
最新の医薬品は人工的にヒトの持つ免疫力(免疫細胞)を強化させ、治療する手法を主流として開発しており、現段階ではサプリメントとの唯一の共通点が、ヒトの免疫力を強化させる手段であることでしょう.
工事中原稿を完成させました。1. 紅麴事件の被害者多数が原因不明の重態:国に責任が無いとは言えない実態機能性表示食品制度を活用した紅麴事件はいまだに原因詳細が公表されていません。
毒性が強い添加物質が使用されて、明かすことが出来ないのでしょうか。
 現在の日本では食生活、健康の安全を脅かす加工食品事件が数え切れぬほど多発していますが、摂食後短期間に多数の死者や腎臓透析の必要が起きるほどの事件は稀。
というより、81人を超える死亡者が関連を疑われている紅麹事件は、知る限り初めての大事件ですから、機能性表示食品とはいえ、立法や監督に関わった大臣以下の政治家や行政担当者の責任は重大でしょう。

トクホ実施団体の公益財団法人日本健康・栄養食品協会は下記の内容を公言しているにかかわらず実際の事件発生時には政府も行政担当者も責任を回避しています。

公益財団法人日本健康・栄養食品協会「トクホには、体調を整える成分が入っており、その食品が本当に健康に役立つかどうか、動物やヒトでその効果や安全性の試験をした上で申請され、国が厳正に審査し、消費者庁より表示が許可されます」

トクホ同様に日本健康・栄養食品協会が関与する機能性表示食品制度は当初から国の責任不所在を明記していますが、協会が承認実務を担当して利益を得ていますから、死者多数の紅麹事件発生に際して、法的責任が皆無とは言えないでしょう。

国には農林水産省や通産省、厚労省など、食生活の安全を監督する省庁が複数ありますが、太平洋戦争が終結してすでに70数年。
法を犯してまでの産業振興優先は止め、諸費者志向に転換するべきでしょう。2. トクホは国が責任を持つ制度ではありません。紅麴事件で表面化したのが官製の特定保健用食品と機能性表示食品制度の存在。
1991 年(平成 3 年)にスタートした特定保健用食品(トクホ)のシステムは発足当初から「なぜ」「何のため」というほど議論が多い、不思議な発想の制度。
 2015年に発足した「(国が責任を持たない)機能性表示食品制度」はさらに不可解。
いずれも制度の認定業務はサプリメント販売を始めた企業の私的団体である公益財団法人日本健康・栄養食品協会がとり仕切っています。
日本健康・栄養食品協会は1979年(昭和54年)に設立された財団法人日本健康食品研究協会がルーツですが、当初の協会は健康増進策のPRが主目的でした。

1970年代ごろよりの行政改革、民活推進の省庁改革は90年代に入り橋本龍太郎内閣(1995年から)により加速しましたが、省庁機能の民営化によるスリム化と合わせ、退職者や余剰人員の受け皿となる、法人格の外郭団体が多数生まれました。
当初から重複する組織との調整に苦労されていましたが、いずれの団体も営利企業のマーケティング経験者が少なく、自立のための収入策は、国家のお墨付きを与えられる資格ビジネスの「認定料」。3. 公益財団法人 日本健康・栄養食品協会の発足平成23年7月1日に公益財団法人 日本健康・栄養食品協会が発足「零細業者の乱立は不祥事が起きる」からと、統制新法を制定してもらい、それを取り締まる組織。
公益財団法に認定された法人ではありますが、実際には健康食品の製造販売業界の私的団体。
協会を構成する組合員だけで市場を独占する排他思想により先進諸国では類例のない矛盾が多い公平感、公正感に欠ける制度となりました。

日本がモデルにした米国には機能性表示食品制度はありません。
ほとんどの加工食品には栄養成分表示が義務付けられていますが、従来からの生鮮食品は任意表示。
 栄養成分表示法は日本でも別途、立法していますが、米国同様に生鮮食品には義務付けがありません。。

日本のトクホ法の歪みは、古くはトクホの錦の御旗を得て、毎年200億円が売り続けられたといわれる花王の化学合成サラダオイルのエコナ事件、最新では静岡の健康茶事件や機能性表示食品制度の紅麹事件に現れています。
零細業者の乱立防止を旗印に、先進諸国には類例がない統制新法のトクホ法を制定したといわれますが、実際には事故を防ぐどころか、事故発生企業の規模が大きいだけに大事件の発生を促すこととなりました。4. 矛盾に満ちた特定保健用食品と機能性表示食品制度サプリメントは食生活がベースとなっている補助食品ですから添加物に違法な物質が使用されないかぎり、本来は免許制などで統制できる対象ではありません。
 日本健康・栄養食品協会には「サプリメントと医薬品」、「素材の合成と天然」を区別できる専門家スタッフが欠けていたのでしょう。
矛盾だらけの内容でのスタ-トなってしまいました。

特定保健用食品と機能性表示食品制度は事故発生に際して国が賠償責任を持たないと理解されているようですから、真の国のお墨付きとはいえません。
ところが関係省庁や団体の広報には「国が厳正に審査して」という文言が使用されており、実態を知らぬ国民には「国のお墨付き」と誤解されています。
両制度下では永年庶民が食してきた食材の利点や健康効果を八百屋さん、魚屋さんが表示することさえ「厳禁」ですから、事件が起きれば当事者は紅麹事件のような矛盾した説明しかできません。


トクホ認定のクッキングオイル・エコナが突然の販売停止」
 https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=176
 
零細業者の乱立は不祥事が起きるからと先進諸国には類例がない統制新法を制定しましたが、実際には事故を防ぐどころか、事故発生企業の規模が大きいだけに大事件の発生を促すこととなりました。5. 医薬品とサプリメントの安全性と効能医療新薬は短期使用を前提とし、必然的に起こりうる腎臓肝臓障害を除いて安全性が議論され、実験室での成果や少数による治験で安全性と効果が認められることがほとんどです。
疾病によるダメージと医薬品のダメージを天秤に掛けざるを得ないからです。
新薬の大規模な薬害が無くならない原因です緊急承認された医薬品が誰もが認める安全性、効能となるにはアスピリンのように半世紀以上が必要でしょう。
反面、サプリメントは食生活同様に生涯の使用が前提となります。
したがって巻末に掲載した協会からの特定保健用食品と機能性表示食品制度の広報にある「科学的根拠」という語彙(ごい)はサプリメントには適当ではありません。
議論されるならば「科学的根拠」ではなく、「疫学的根拠」でしょう。6. サプリメント界に「科学的根拠」というフレーズはありません。 財団法人日本健康食品研究協会が発足した80年代初期はFDAが米国民の健康維持のために、組織的な啓蒙活動を続けていることが世界のお手本ともなっていました。
ところが移民、有色人種など幅広い所得層、教育レベルが常在する先進諸国と日本とは環境が大きく異なります。
FDAの組織は米国には必要不可欠ですが、太平洋戦後30年以上が経過した日本がいつまでも、お手本とすべき組織ではありません。
行革対象の無駄な組織と見做されたのは必然だったのでしょう。
 日本健康食品研究協会は現在の公益財団法人日本健康・栄養食品協会になりましたが、主目的は特定保健用食品と機能性表示食品制度の認定業務。
監督行政を担う省庁が評議員、理事などの幹部と理事長を派遣しキャリアの永い参院議員を会長にしていますが、即席で作られた特定保健用食品­(トクホ)制度の組織を構成するのはサプリメント業界に新たに参入した企業がほとんど。
官民共にサプリメントを熟知した人材が少ない組織ですから医薬品とサプリメントの区別がつかず、「科学的根拠」という有り得ないフレーズが全面に押し出されてしまいました。
 公益財団法人とはいえ、収入を図るための組織ですから、「国のお墨付き」による実利を狙って600余の企業が高額な入会金と年会費を払って、国家を背景とした組織に加入し、利益を得ましたが、当初から業者の私的組合でしたから、組合が独自に創設した特定保健用食品­(トクホ)は国が責任を持てる制度とはなりませんでした。
 
特定保健用食品­(トクホ)は国の傘下であることを強調することが出来る?
私的制度ですが、議員立法によるものと言えども実態は砂上の楼閣。
圧倒的支配力を持つ一党支配政権だからこそ存在できましたが、矛盾の多い組織が脆かった(もろい)のはサラダオイルの大事件が発生した後日に明らかになりました。

もともと新開発食品の安全性確認には数十年がかかりますから、メタアナリシス不在の「科学的根拠」など存在できない語彙です。
日本を含む各国では健康関連のいくつもの仮説を対象に数万から十万人を超えるようなコホート実験が数十年間続けられています。
これからは信頼できる「根拠」が出てくると思いますが、コホート研究などアンケート的な調査の信頼度には議論があるところですから「科学的根拠」ではなく「疫学的な目安」としたほうが正しいでしょう。
 食品や食材の安全性や効能は、最低でも20から30年以上の実績が必要であり、実際の安全性はトクホではなく数百年以上の食生活(実績)によって疫学的に証明されています本当の安全性や効能は、実験室や少数の治験手法で得られるものではありません。
関係団体の関係者は肝臓腎臓などの副作用が当たり前の医薬品開発と混同していたのでしょう。
サプリメントに「科学的根拠」ということ自体が間違いです。
 数十年前には厚生労働省監修の「安全で効果のあるサプリメント」という解説が厚生労働省HPや東京都のHPにありましたが、執筆者の大半は「薬剤、生物学、伝統医学、栄養学などには知識のない専門外の博士、医師」。
未熟記事があまりに多いために、実用に耐えるものではありませんでした(現在は全て消去されています)


同様に特定保健用食品と機能性表示食品制度は食生活というものの本質が理解できているとは思えない矛盾に満ちた内容ですが、一党支配政権だったからこそ不備の多い法律が成立できたのでしょう。7. 「トクホは国が厳正に審査し認定している信頼できる制度?」紅麹事件は国が責任を持たない機能性表示食品制度ですが、特定保健用食品(トクホ)も無責任なのはトクホ認定を得た*「花王のエコナ事件」が責任者不在だったことで証明されています。
事件当時と現在は協会運営の世代が異なっていますから、エコナ事件の大騒ぎは、現在の協会会員には未知な世界なのでしょう。

紅麹事件後に協会が「トクホは国が厳正に審査し認定している信頼できる制度」と強調しているのは、国が最終的に責任を取るべき制度というのでしょうか。
死者が多数の異例な事件が摘発されたからには、政治家と官民の「責任問題」を法的に明らかにするべきでしょう。
水俣病のメチル水銀やアスベスト事件では国が敗訴しましたが、脳神経障害や中皮腫肺がんを国が因果関係を認めるまでの経緯は容易ではありませんでした。
担当者が事件当時とは何回か替わっていることもあり、いまだにスムースな後処理が進行していません。8. トクホのエコナは発がん物質のグリシドール主体に製造されたサラダオイル「花王のエコナ事件」は消費者がエコナには体脂肪低減作用があるといわれ、化学合成された発がん物質のグリシドール主体に製造されたサラダオイルを推定1,000億円規模まで買い続け、トクホ認定を信じたが故に犠牲者、被害者が続出した大事件。
生産者はいつもながら「因果関係が認められない」。

トクホ認定時には政府の「食品安全委員会」が監督官庁と共にグリシドールDGA)の発がん性を憂いて相当な抵抗をしていましたが、政治力で押し切られてしまいました。
 *DGA:diacylglycerolトクホの花王エコナ事件の渦中に政権が自民党から民主党に移り、エコナがいきなりトクホを辞退したのが新政権の担当大臣が赴任する前日。
新政権は消費者庁を作るなど、国民が受益者でない制度を解消すると期待されていましたが、お墨付きを与える見返りのメリットを期待する政治家は党派を超えて存在していましたから、食生活関連法の改革はなかなかむつかしかったようです。

特定保健用食品制度下の事故発生には国が賠償責任を持たない制度ですから、国のお墨付きとはいえませんが、実際には「国が厳正に審査して」という文言が使用されており、実態を知らぬ国民には「国のお墨付き」と理解されています。
排他的な私的組織が法の権力を得て、永年庶民が食してきた食材の利点を八百屋さん、魚屋さんが表現することさえ「厳禁」ですから、制度下で事件が起きれば当事者は矛盾した「逃げ」の説明しかできません。
疫学的に永年認識されている機能さえ表示できないのは特定保健用食品と機能性表示食品制度の最大問題点です。9.(広報) 以下は関係組織のホームページに記載されている内容です。 日本健康・栄養食品協会のトクホと機能性表示食品(HPの解説)
@特定保健用食品(通称トクホ)
特定保健用食品(通称トクホ)は、国が食品に「健康に役立つ」表示を許可する世界で初めての制度いくつもの制度改革が行われ、数々のヒット商品も生まれました。
1993 年(平成 5 年)に第 1 号として、アレルゲン低減食品 2 品目(ファインライスと低 リンミルク L.P.K)が許可され、その後件数は順調に増加し、2012 年(平成 24 年)5 月、 1000 品目に到達しました。
トクホには、体調を整える成分が入っており、その食品が本当に健康に役立つかどうか、動物やヒトでその効果や安全性の試験をした上で申請され、国が厳正に審査し、消費者庁より表示が許可されます @機能性表示食品「食品の「機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者の皆さんがそう した商品の正しい情報を得て選択できるよう、新しく「機能性表示食品」 制度がはじまりました 「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、特定の保健の 目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)という食品の機能性を表示する ことができる食品です。
安全性の確保を前提とし、科学的根拠に基づいた機能性が、事業者の責任において 表示されるものです。
 特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品の違いは? 
特定保健用食品(トクホ)は有効性や安全性について国が審議を行い、消費者庁長官が許可を与えた食品です。 
機能性表示食品は、有効性や安全性の根拠に関する情報等を消費者庁へ届出ることで、事業者の責任で機能性の表示をする食品です。
初版: 2024/05/09改訂版:2024/09/21