糖尿病のニュースと解説

危険なアミノ酸バランスの崩壊:
継続的合成アミノ酸摂取と医薬品による腎臓障害の多発

2024/10/19
最終更新:2026-09-14

横綱が全て欠場し大関も複数が欠場している2018年の大相撲九州場所。
2021年も同様でした。
筋肉質の関取が少なくなり、いわゆる肥満体のオンパレード。
このトレンドは近年の大相撲力士にも継続されているといわれます。
格闘技に必要な体重増は得られても、敏捷性などは天性が必要です。
糖尿病、短命の危険性が増すだけの力士が少なくありません。

プロ、アマを問わず日本人スポーツ選手が安易な合成アミノ酸の服用で筋力増強、体格改良に取り組む風潮。
痛めた腎臓による怪我の頻発に繋がっていることが危惧されています。
腎不全は筋肉、骨に大きな影響を与え、機能を阻害します。
すでにアメリカのプロスポーツ選手の多くが合成アミノ酸摂取を中止しており2021年ころから、スーパーボウル(アメリカンフットボール)出場選手が二回りといえるほど小さくなっていたのが話題となっています。

100年くらい前は150センチ、40キロ台が標準だった日本人ですから、欧米のコーカシアンと対等に戦うには肉体的ハンディが非常に大きいのは理解できますが、危険を承知のプロ選手はともかく、アマチュアが活躍できるのは一瞬ともいえる短期間。
必要悪のプロ選手の模倣は危険です。
合成アミノ酸の過剰摂取は医薬品過剰摂取同様に「腎不全」の大きなリスク・ファクター。
悪化させたら回復が難しく、一生涯後悔することになります。
長寿社会の勝ち組となるには(その19改訂版)

1.腎臓の認識を変えたエリスロポエチンの発見

慢性腎不全は悪化すると修復が不可能となります。透析が必須となれば生活の質が低下し、最終的に多臓器不全とあいまいな呼び名で終末となっていきます。悪しきことと知りながらスポーツ選手が合成アミノ酸の服用で筋力増強、体格改善に安易に取り組む風潮は止めなければなりません。

腎臓が寿命を決定し、「肝腎連関」という言葉が生まれたのは古いことではありません。腎臓機能の研究は1977年に骨へのメッセージ・ホルモンのエリスロポエチン(EPO:erythropoietin:赤血球増多因子)が精製されてから飛躍的に進歩しました。発見したのは大阪大学の宮家隆次博士(みやけ)らで、1985年には遺伝子のクローニングに成功しましたが、ハードルが高かった医薬品の製造には至りませんでした。エリスロポエチンはその後の実用化研究にシカゴ大学の協力を得たことで宮家隆次博士の思惑とは異なる方向に進展してしまいました。医薬品の特許は米国のベンチャー企業アムジェン(Amgen inc)が取得。特許を得たアムジェンはエリスロポエチン製剤をベースに、今やタケダを凌ぐ大企業。いつもながら悲しい話です。

その後、腎臓は人体各部位を繋げるネットワークの中心であることが次々と解明。慢性化する生活習慣病に深く関わり、長寿を決定する臓器として体中にメッセージを発信、受信していることは、いまや医学界の共通認識。現在は様々な医薬品開発に必要な相関の作用機序発見が競われています。

2.腎性貧血は原因究明が最重要。エリスロポエチン投与の功罪

顔色が悪くなり、息切れ、めまいが顕著な貧血の原因は様々です。青春期の女性ならばともかく、中高年となると、より掘り下げた原因究明が必要です。

生活習慣病やがん治療で継続的投薬が続くと腎臓障害が発生することが少なく在りません、というより高い確率でです。一般的な検診で顔色が悪い、クレアチニン値が異常を示した等で鉄分補給を短絡的に考えるのは危険です。腎臓障害発生の原因究明が必要であり、元を断つ必要があります。鉄分は造血に必須ですが一般的な食生活で不足することは稀。鉄分の過剰は肝臓などに不具合を起こします。

「過剰鉄分は寿命を縮める」 Q&A :脂肪肝、糖尿病の原因にも」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=183

造血に必須のホルモンであるエリスロポエチン(erythropoietin:EPO)は腎機能の低下とともに産生量が不十分となり腎性貧血を引き起こします。素人判断ではなく、専門家による対策が必要ですが、腎機能に詳しく、投薬に慎重な専門病院で精密検査を受けて指示に従うことです。

赤血球を増やすエリスロポエチン製剤は効果の高い薬ですが急性高血圧による脳卒中、心筋梗塞の危険性が否めません。特に血栓が出来やすくなるCOVID-19感染者への投与は避けるべきでしょう。初期の腎臓障害、急性腎臓疾患は投薬を控え、食生活や生活習慣で一酸化窒素(NO)の合成を図ることで改善が得られます。腎臓機能の低下は全身の血管内皮の一酸化窒素合成(NO)機能を低下させるからです。

3.合成システインは腎臓を害し、肺疾患や心臓病に双方向関与する

Nアセチルシステイン(N-acetylcysteine)と呼ばれるアミノ酸のシステイン(cysteine)美白効果を期待して肉類経由の食品からでなく、合成システインを大量摂取する女性が少なくないといわれます。大量摂取は、ある種の化学物質を生成し、必要量の酸素取入れを阻害します。腎臓が機能発揮するには大量の酸素が必要です。腎臓は酸素不足により機能が低下、また心臓から血液を送り出す血管系が狭まるために、肺の血圧を高め、肺疾患(Pulmonary Disease)や心臓肥大(swelling)にリンクするともいわれています。

4.合成システインはインシュリンの糖代謝を妨げる

インスリンは、グリコーゲン合成酵素(glycogen synthase)を活性化させ、グリコーゲン合成を促進させますが、合成システイン(Cysteine)はその機能を失効させます。糖尿病疾患や予備軍に危険なアミノ酸として知られる合成システインはインスリン細胞を変形させて糖代謝機能を失わせるといわれます。

また他の慢性疾患で投薬されている方は腎臓、肝臓負担が大きくなっていますからアミノ酸の合成システインの摂取は避けるべきといわれます。健康不調の有無にかかわらず摂取は直ちにやめるべきでしょう。

5.合成アミノ酸によるカルシウム損失と骨粗鬆症(Osteoporosis)

"American Journal of Clinical Nutrition" 誌によれば、合成タンパク質や合成アミノ酸サプリメントの摂取はカルシウム損失の重大なリスクファクターとなる信頼すべき研究があるそうです。「合成アミノ酸により腎臓機能が害されてカルシウム吸収に必要な機能(bone resorption)が失われ骨粗しょう症(osteoporosis)の原因となる」

6.合成アミノ酸を常用しているアスリートの腎臓機能障害

筋力増強のために、しばしばアミノ酸を常用しているアスリートは腎臓機能障害を発症している実例が多いそうです。合成アミノ酸は摂食の歴史が半世紀を超えていますが、60年くらいでは安全性、安全摂取量の結論が出せる段階ではありません。健康人でも、合成アミノ酸の摂取を3か月以上連続で続けるべきでないというのが信頼すべき定説となっています。アスリートには肉類、魚類などのたんぱく質摂取を中心に均整の取れた食生活、適正な負荷を筋肉にかけたウェイトトレーニングが推奨されています。ただしシステインは食材からの天然アミノ酸でも過剰摂取は動脈硬化などの原因となります。

7.イチロー選手が筋肉トレーニングを廃止した理由

アメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)で永年活躍を続けるイチロー選手。2016年のシーズン後半からは一部筋肉を増強するトレーニングをやめたそうです。一部を増強することで全体のバランスが崩れるために期待されたパワーを得るどころか悪影響が目立ってきたからとのこと。これはアミノ酸もバランスが重要なことに通じます。イチロー選手は合成アミノ酸サプリメントの有害性が警告されたころに中止しているようですが合成アミノ酸サプリメントはアスリートが筋肉に十分なグリコーゲンを蓄えるための糖質合成(incorporate enough carbohydrates)を困難にします。

肉類が大好きなイチロー選手は筋力に必要なアミノ酸量は食事で十分摂取しています。もともとアメリカのアスリートは合成アミノ酸の補給をする人は少なく、ダルビッシュ、田中マー君などパワー不足の日本人や韓国人選手が危険を指摘されながらも愛用しているといわれます。特にプロゴルフ界の選手には男女ともに常用者が多いといわれます。おおたにて欠場し大関も複数が欠場している2018年の大相撲九州場所。*2019年には田中マー君もダルビッシュ選手もアミノ酸摂取を中止したそうです。田中マー君は日本でプレーするようになった2021年には一回り小さくなって登場しています。大谷翔平選手のケースの真似は危険です。異例の無い体格ですから安全性の基準が異なります。詳細は控えますが、大谷流の安全性確保には多額投資が必要です。肉食人種のアメリカ選手の食生活はアミノ酸の摂りすぎくらい。筋肉増強には禁じられているステロイド系の特殊医薬品やサプリメントを使用していた選手が多かったといわれます。

「ドーピングに使われるアナボリックステロイド(THGなど)とアンフェタミン型覚せい剤」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=140

8.危険なアミノ酸バランスの崩壊(Amino Acid Imbalances)

天然の食材では各種の天然のアミノ酸がバランス良く配合され、自然界の様々な物質がアミノ酸の悪しき副作用を制御していると考えられています。合成アミノ酸の健康情報は米国の「ニュートリション誌」で頻繁に採り上げられていますが最も恐れられているのはアミノ酸バランスの崩壊。あるグループの合成アミノ酸は小腸に吸収された後、小腸の壁から血流に流入させる役割を持つ運び屋(トランスポーター)を異常にあふれさせて、その機能を失なわせるそうです。そのために食事から得られた各種のアミノ酸まで血流に入れなくなりアミノ酸バランスが大きく崩れます。フィットネスクラブやスポーツショップで高分量の合成分岐アミノ酸が売られる時代ですが、目先の体力増強に惑わされて長期的な健康維持を損なわぬようにするのが賢明でしょう。

「トリプトファンによる好酸球増多筋痛症候群(EMS)事件」
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=538
*トリプトファンはアミノ酸です。

9.ヘルペスなどウィルス感染症を悪化させる合成分岐鎖アミノ酸

分岐鎖(ぶんきさ)アミノ酸と呼ばれるグループはヘルペスなどのウィルス感染症を悪化させるといわれます。ウィルス感染症は腎臓を傷めるばかりか、がん遺伝子の変異を招き発がんの引き金ともなりますから油断できません。ウィルス感染症の疑いがあるときは合成分岐アミノ酸の摂取は控えるべきと言われます。
*分岐鎖アミノ酸(BCAA:Branched Chain Amino Acids)

10.合成チロシン、合成フェニルアラニンは高血圧を招く

アミノ酸の合成チロシン(Tyrosine)、合成フェニルアラニン(phenylalanine)は血圧上昇、動悸、疲労感、イライラの原因となるといわれます。特に抗うつ剤(antidepressants)モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO inhibitors)を使用中は合成チロシン、合成フェニルアラニンの摂取は厳禁です。

11.日常生活とアスリートのアミノ酸必要量

平均的な体格の米国人はヒレ牛肉ならば400gから500gの摂食量が珍しくありません。天然アミノ酸の宝庫といえども過剰摂取は有害です。一般的な成人男性のグリコーゲン可能貯蔵量は、肝臓に100gくらい、筋肉に300g程度と言われており、余剰は脂肪となり肥満の原因となります。一般的な方に推奨されるアミノ酸総量は0.8g/ポンド。㎏換算すると60キロの方で約105g。余剰アミノ酸は体内にそのままの形で蓄積されわけではなく、グルコース(ブドウ糖:glucose)に変換され、エネルギーとして燃やされるか、脂肪や多糖類の動物グリコーゲン(glycogen)として肝臓やさらに変化して筋肉に蓄えられます。「Advanced Fitness Assessment and Exercise Prescription」という研究がありますがマラソン、サッカーなどハードな持久力が必要なアスリートは一日1.2 to 1.4 grams /ポンドのタンパク質が必要量。筋力増強が必要なアスリートで1.6 to 1.8 grams/ポンド60キロの人で150gから200g。90キロの人でも225gから300gくらいですから、米国人の通常の食事量で十分賄えます。不必要なタンパク質摂取は筋肉中に十分なグリコーゲンを貯蔵する機能を損ないます。長期的な健康生活を害する食生活の近代三悪にはアミノ酸バランス、脂肪酸バランス、ホルモンバランスの崩壊が挙げられます。

「天然魚油のDHA/EPA(オメガ3)とは:脂肪酸代謝物エイコサノイドとプロスタノイド」
第6項に「飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のバランス(脂肪酸バランス)」が解説されています。
https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=173

日本人には牛肉が長寿の食材。90才を超える日本人の好物は一様に牛肉といわれます。牛肉は良質な天然アミノ酸の宝庫ですが、米国人のような過剰摂取は有害ともなります。

2018年11月24日 初版2020年12月29日 改訂版2022/02/19