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天然のブドウレスベラトロールは細胞内小器官の代謝機能を活発化させ、新陳代謝の促進により脳神経変性疾患、糖尿病、高血圧、脳卒中、心血管病など生活習慣病の改善、腎機能、肝臓機能低下抑制に働くことが疫学的に知られています.
レスベラトロールの細胞内作用機序詳細は明らかではありませんが、アンチエージング機能は当初話題となったテロメラーゼ制御だけではありません.
その根拠となっているのが1950年代に発見された細胞のオートファジー機能。
2016年ノーベル生理学医学賞はオートファジー作用遺伝子を1990年代に発見した大隅良典博士に授与されました.
下記はノルウェーのカロリンスカ研究所からのプレスリリースを基に解説.
The Novel Assembly at Karolinska Institutet

オートファジー(autophagy)の図解.
図は細胞内小器官のリソゾーム(lysosome)が、形成されたオートファゴソーム(autophagosomes)と結合するまでの過程.
1.クリスチャン・ド・デューブが名付けたオートファジー(autophagy)細胞の構造と機能解明の第一人者であるベルギーのクリスチャン・ド・デューブ(Christian de Duve)は1955年に真核生物の細胞内に生理学的機能の指令基地といえる細胞内小器官を発見、リソゾーム(lysosome)と名付けました。
クリスチャン・ド・デューブは他の研究者とともに、この成果により1974年にノーベル生理学医学賞を受賞しています.
またデューブ博士はリソゾーム内外の細胞内小器官(オルガネラ:organelles)が持つ「自食作用:self-eating」の発見でも有名ですが、この作用は博士によりオートファジー(autophagy:ギリシャ語)と名付けられています。
また細胞内損傷蛋白質などを大量に運ぶ器官をオートファゴソーム(autophagosomes)と名付けていました。
2.大隅良典博士の功績はオートファジー作用遺伝子の発見現在ではオートファジー現象をターゲットにした様々な医薬品開発が進行中ですがデューブにより50年も前に発見され生理学的基礎の重要性が認識されていたにかかわらず、1990年代初期に大隅博士の劇的な発見(paradigm-shifting research)をみるまでは医薬品の開発が進みませんでした。
1970年代、80年代には蛋白質分解酵素集団のプロテアゾーム(proteasome)でオートファジー現象が説明できるかもしれないと思われていましたが、小さいものはともかく、より大きな老廃蛋白質の処理機能が説明できず、先へ進めませんでした。
2016年ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典博士の功績はオートファジーと名付けられていた細胞内器官の働きを顕微鏡で捉えることに成功(機能の可視化).
オートファジーをコントロールする遺伝子を発見したことにより、機能研究が急速に進歩を遂げたことです。
細胞内諸器官がタンパク質の崩壊とそれを再生する生理学的機能をオートファジー遺伝子がコントロールする実態を解明した博士の足跡を追って世界の研究者が医薬品開発につながる研究を続けています。
オートファジー遺伝子は細胞内器官の再建にエネルギーの燃料を供給し飢餓や各種ストレスに対応するとともに、ウィルス、細菌など侵入外敵を排除します。
また胚(embryo)の成長や変化を助けています。

(上図)
ストレスのシグナルが伝達されるとオートファジー作用遺伝子が細胞内で不能となっている蛋白質とその複合体に作用.
その不能蛋白質は新たに形成された膜内に結合し流入(conjugation cascade)し、オートファゴソーム(autophagosomes)を形成.
成長(elogation)させてオートファジー現象(タンパク質の再合成)を引き起こしていく.
大隅良典博士はイーストを使用することで、その過程を可視化することに成功しました.
3.オートファジー作用遺伝子発見のキーとなったパンのイースト大隅博士らの成功は食パン製造に使用するイーストが哺乳類の持つオートファジー機能を持つことを発見したことが始まり。
イーストのオートファジー作用を観察することにより作用遺伝子を発見しました。
大隅博士らはヴァキュオール(液胞:vacuole:植物に特徴的)を崩壊させる酵素を欠いたイーストを作成。
イースト細胞に飢餓状態を作り出すと作用遺伝子によりヴァキュオールが急速に増殖、蓄積されオートファゴソーム( autophagosomes)が形成されるオートファジー現象を捉えました(下図)。

その後、数千を超える様々な変異イーストからオートファジーを機能させる15の遺伝子を発見しています。
博士らはこの成果を1992年にセル・バイオロジー誌に掲載しました。
「Autophagy in yeast demonstrated with proteinase-deficient mutants andconditions for its induction」
細胞はオートファジーを使い損傷した蛋白質と細胞内小器官群(オルガネラ:organelles)を除去したり品質管理をしますが現在ではオートファジー機能の崩壊が中高年の脳神経変性疾患(パーキンソン病など)、2型糖尿病や様々な加齢疾患の原因と推察され、癌(がん)の発生にもリンクすると考えられています。
また発見されたオートファジー遺伝子が変異によって遺伝子病といわれる一連の疾患の原因となるであろうとも推測されています。
4.大隅良典博士の研究テーマとプロフィール博士らは人間(真核生物)の細胞内器官リソゾームに相当するイーストの細胞内器官ヴァキュオール(液胞:vacuole)の蛋白質崩壊に焦点を置いた研究を続けてこられました。
液胞は植物細胞にのみ存在するとみられていた水様物質を含む大型の細胞内小器官。
1945年:九州大学教授の父親の本拠地福岡で誕生.
1974年:博士号取得(東京大学).
1975年:ニューヨークのロックフェラー大学に3年間留学(Rockefeller University)。
1988年:東京大学に研究室を開設.
2009年:東京工業大学教授
初稿:2019/02/16
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