ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)
第六十〇話:「アジアの明日はインドに期待」
2016/04/28
最終更新:2026-09-08
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新興国経済が停滞し始めて二年目に入りますが、膨らむ一方の新興国債務が、世界景気回復の障害になって居るのは不可避の現実で、殊に中国とロシア経済の減速継続と、大統領の弾劾まで取りざたされるブラジルや、与党が敗北したベネズエラ、政権交代のあったアルゼンチンなど中南米諸国の、政治と経済の多重危機は、もはや二番底の深みにはまってしまったようです。こんな情勢下にあって、人口ボーナスに恵まれ、比較的経済成長が期待されるのが、ASEAN10ヶ国とインドではないでしょうか。 これら諸国の人口が 合計20億におよび、そのGDPが7兆ドルもあることは、未来への期待を膨らませてくれます。 中でも、人口の大きさでは、其々13億内外と言うほぼ同数の人口を競い合う中国とインド(予測では10年以内に、インド人口が中國を抜き世界一になるそうです)ですが、前者が既に少子高齢化に突入し人口オーナスに陥り、若年労働力不足に陥っているのに対し、後者は世界最大の若年層を抱え、これから愈々人口ボーナスを謳歌しようと言う状況にあることから、アジアに輝く未来の星が、インドであることが見えて来ます。かてて加えるに、アジアの新リーダーを自認してきた中国ですが、このところ南シナ海の埋め立てによる強引で横暴な軍事拠点化で近隣アジア諸国どころか、ほぼ全世界からの糾弾を受けており、併せて内政面でも独裁政治の野蛮さが次々と露呈していることで、世界の不信感と警戒感をなお一層増幅させ始めております。対照的に、インドはどの国とも、何処においても騒動や諍いを起こさず、また国内でも非道な言論弾圧や無意味な政争を行うこともなく、アジアの平和国家と民主主義大国としての評判を確実に高めているようです。 目下経済面では、中国の後塵を拝してはいますが、いずれ近い将来、経済的実力でも肩を並べるものと推測されるにつれ、全世界から、インドとの親交を求める諸国が目白押しとなりそうです。 雑誌だったか新聞だったかで垣間見た記事で、インドの要人だったかが「インドと中国の競争は、軍事力と経済力の面だけに限らない。ソフトパワーの競争こそ肝心だ。 どちらの国の方が政治的に安定しているのか、どちらの方が平和・文化国家なのか、外交的にも、国際法を遵守尊重するのは、いずれの国か、世界の人々は、間もなく分かって来るでしょう。」と自信たっぷりで語って居ました。 これを裏書きするかのごとき動きは、モディ首相の積極果敢な地球儀外交で、民主主義諸国との安保打ち合わせ、自由経済諸国との貿易促進と国家間商談の積み重ねに、極めて前向きな、国家を挙げての取り組み姿勢が見られます。 「危険な台頭と恫喝」に転じた中国に対する周辺アジア諸国の警戒行動も、連携を強めるインドにとって、相乗効果を上げつつあるようです。中国に真っ向から対立しているフィリピン最高裁判所が、「米比防衛協力協定が合憲」だとの判決を下し、小規模ながら旧軍事基地だったスービック湾等に米軍が戻って来て展開する道が開けたこと、北朝鮮の相次ぐ暴走に痺れを来した韓国が、当てにならない中国を見限り、米日韓安保同盟に撚りを戻し高高度防衛ミサイル強力に踏み切ったこと、などに併せて、ベトナム、インドネシアなども対中姿勢を硬化に転じたことは、大国インドがこの潮流に乗って、新たなアジア大国としての役割を果たす機会を得たものと言えるでしょう。もちろん、我が日本にとっても、親日国家インドと手を携えて、アジアの平和と民主主義の旗の下に大いなる経済繁栄の礎を築く機会を活かす好機であると考えます。 歴史的なインドの外交は、大戦後英国の頚木から解放された後、大半のエネルギーを近隣諸国との関係に費やされて来ました。最大のライバルだったイスラム国・パキスタンとは6度も戦火を交えるなど、安保政策が南アジアに釘付けにされていた訳です。 その間に一足早く経済力を急速に伸ばし、併せて軍事力強化を加速してきた中国が、土足でインドの影響圏へと踏み込んで来たばかりか、殊に今世紀に入ってからは、インド洋にまで及ぶシーレーン構想を進め、ミャンマー、バングラデシュ、スリランカ、パキスタンへと至る海路に、中国拠点としての商業兼軍事港を造ってしまったのです。 しかも、インドの海軍基地のある諸島の近隣に通信傍受基地まで構築してしまったようですから、流石の“眠れる獅子インドも目を覚まされた”と言う事態です。 モディ首相は、そうしたインドの外交ミスを撤回すべく、これまで不即不離の関係だった米国と急接近を図り、インドの経済成長を前面に、ハイテク産業を強化育成する上で米国とのビジネスを密着させ、次いで安保面では、「世界最大の民主主義国」を標榜することで、中国と一線を画す政治モデル構想から、日米豪連携カードを切り、合同軍事演習に突き進み始めたわけです。中国封じ込め作戦は、今後タイやフィリピンとの安保連携を画策中のようです。 インドにとって朗報は、ミャンマーの政権交代でしょう。実質上の国策をリードするアウン サン スーチー氏が、親インド派で「インドはミャンマー民主化の良いお手本である」と発言しており、これまでの軍事政権が中國べったりだったことで、多額の経済支援を受けてきており、どこまで中立化出来るかが問われるところです。 いずれにせよ、中国とインドが、アジア大陸南西部とシナ海からインド洋を経てアラビア海に至る広大な海域において、陣取り合戦、仲間造りの、政治経済、外交安保、イデオロギーを巡るアジア争奪戦を始めている事実は避けて通れないでしょう。 聞くところによると、インドの核抑止力の強化拡充が既に中国の脅威となりつつあり(インド海軍の核戦力整備は、あまり報道されませんが、中国軍と均衡状態に到達済のようで、空母二隻、国産原潜一艦保有、二艦建造中とか)、一方既述の如く、経済下降中の中国対経済上昇機運のインドとは、もはや互角の土俵に乗ったともいえるので、あとは民主主義連合が勝つか、中国の金と恫喝による冊封体制が勝つか、アジアの地政学は日米やアセアンと南西アジアを巻き込んだ諸国間の綱引きに任される雲行きとなって居ます。 最近の新聞報道では、シンガポールの最大手銀行DBSが(既にインドに12店舗展開中なるも、これまで法人向け営業だったのに対し)今般、スマホ専用銀行サービスを開始(支店が不要で、国内五百か所提携のカフェで、口座開設でき24時間対応の個人取引可能)したそうで、中間所得層が急拡大する個人向け銀行業務市場の潜在力が巨大になるとの見通しを発表しています。 中国を始め、これまでアジアの多くの国では、外資の出資規制など保護主義慣習が強く、参入障壁が高い障壁があった中、注目される動きと思います。 この背景も、モディ首相の進める「モディのミクス」経済戦略、別名「アクトイースト」と呼ばれる経済外交の成果であり、アセアン他国群にとっても、中国の横暴、お仕着せ、抑圧経済外交に逃げ道が開かれたことが、大歓迎されているようです。 もちろん、スズキ自動車の如く、既にインドで製造販売とも大成果を収めている会社に続く、日本企業の今後が楽しみとなって来ました。特に、不祥事や業績低迷に悩むシャープ、東芝、三菱自動車等にも、大いなるチャンスを求めて、インド進出を検討頂きたいものです。 |
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