ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)

第五十二話:旧年を回顧:
我が国にとっての平成27年(2015年)

2015/12/29
最終更新:2026-09-08
世界にとって2015年は、そして我が国にとって平成27年は、一体どんな一年であったのか、無作為・順不同にテーマ・トピックスを列記し、私見を交えつつ回顧してみたいと思います。
国際社会での欧米主導が頓挫し、中国の覇権主義が拒絶に合い出番を無くす中、世界は今、新リーダーを希求しています。さて、日本に“備え”はあるのでしょうか。
 「安」の歳 毎年末になると、「今年の流行語」とか「本年の漢字一文字」と言った恒例の歳時記的な発表が彼方此方でなされますが、筆者の印象は、総じて選ばれる言葉に思想的な歪や政治的偏向が如実に具現されており、余り好みに合う事象ではありません。
しかしながら、ここでは今年の総括に相応しそうな「安」を取り上げてみました。
たまたま耳目に飛び込んで来た日米両首長の会見に、偶然と言うか、必然と言うか、「安の字」に関わる“一致”を見たのがその理由です。
安倍首相は、「私の苗字は、国家・国民の安全・安心を2倍にする!」と発言し、オバマ大統領は、「国民の安全こそが最重要課題です」と会見で述べられたように、熱い世界大戦こそ遠のいたものの、国境や領海争奪戦、宗派民族闘争等の局地戦や市民を巻き込むテロが絶えず、一説に第二次冷戦とか、第三次世界大戦の兆しとか、グローバルに安全が脅かされる事態が多発しています。
 所謂ローンウルフ(一匹狼)型の“個人や小集団による単純ながら突発的な攻撃の実行”は、生半な戦術・施策では防御のしようもないだけに、世界の隅々まで、一般市民の安全・安心を脅かす姑息にして危険極まりない手段と化しているのです。
今こそ、一瞬にして地獄に追い込まれる「不安」を排除し、天国、楽園とまでは欲張らなくとも、せめて「安心」して平穏無事に日々を暮せる地上の生活を勝ち得ることが、21世紀人類共通の課題であろうかと考える次第です。
安保法制成立と安倍首相の積極的平和主義外交は「安」への正道と言えましょう。
 「大惨事」は避けられなかったのか 今年も世界の陸海空を問わぬ大事故、大事件、数々の大惨事が多発しました。
まず陸上で忘れてはならない大惨事は、中国天津で起こった巨大爆発(直径百メートルに及ぶ大穴が開いた)事故でした。
死者・行方不明者が160人以上、負傷者700人以上もの犠牲者を出し、周辺2キロメートル一帯を巻き添えにし、生産・物流・港湾業務からマンションを含む近隣住民に及ぶ多大の損害を与えましたが、中でもトヨタ自動車の完成車他4700台もがすべて転売不能となるダメージを受けた大惨劇でした。
 事故の解明が進む前に、中国特有の報道官規制が発令され、例によって「臭いものには蓋をしろ」の伝で、“跡地一帯を公園にする”とかの噂が飛び交っております。これまで漏れ伝わって来た情報によると、消防夫は民間人(素人)ばかりで、「危険化学物取扱い知識・経験」がなく、“火に油を注ぐミスを犯して事故を甚大化させてしまったようですし、責任者の自殺や習主席暗殺未遂の噂など不可解な情報が乱れ飛ぶ事件でもありました。
なお、我が国の場合、半世紀前の品川倉庫危険物爆発事故から学習し、規制対策、安全教育の徹底等によって、その後51年間に亘り類似事故による犠牲者はゼロに留めております。
 他にも、米国アムトラックの脱線転覆事故とフランスTGV列車転落事故がありましたが、いずれもスピード違反が主因でしたから、止めどなく繰り返される自動車事故も含めて、避けられたはずの人的エラーだったようです。
 次に、水難事故として特筆すべきは、同じく中国の長江で大型フェリーが転覆し、確認されただけでも430名以上(一説に490名)が死亡しましたが、その背景や経過が前年の韓国セフォル号沈没事故に極めて類似していたことです。
例によって中国の報道規制から、全真相が明かにされてはいませんが、客船の無謀な改造とか、気象対応操舵ミスとか、船長の逃亡等、数々の違法性が問われた人為ミスだったのは間違いなさそうです。
 空の事故・事件も多発しました。台湾のトランスアジア機墜落(死者43人)
ドイツのジャーマンウイングス機墜落(衝撃的な副操縦士の自殺により、死者150人)
インドネシアのトリガナ機墜落(死者54人)などに次いで、最悪はロシアのコガリムア機が撃墜され224人が死亡した事件が有った上、シリア内戦/IS排撃戦の渦中、ロシアの戦闘機がトルコ戦闘機に撃墜される事件も発生しました。
他にもデルタ機、エアカナダ機、アシアナ機の着陸失敗事故や貨物機の墜落事故等も続きました。
中でも同時多発事件から実施された「ハイジャック防止対策」としての操縦席ドアオートロックシステムがアダとなったドイツ人副操縦士自殺事件を受けて、新たに常時二人操縦体制を確立したように、今後とも空の安全に万全を期すための改善改革は避けられないと思われます。
願わくは、戦闘機であれ、民間機であれ航空識別圏に関する国際法の充足度に万全を期す改革は喫緊のテーマとなるでしょう。
 「聖戦テロ」の世界戦争阻止こそ喫緊の課題 パリ聖戦テロは132人もの死者を出して、ヨーロッパ諸都市の治安を根本から揺るがしたに留まらず、イスラム過激派の起こす同時多発国際テロは、何時でも何処でも起きうる惨劇地獄であって、今や世界に大衝撃を与え、国際秩序を狂わせてしまうことが証明されました。
オバマ大統領が「米国は世界の警察官にならない」と宣言し、イラク、イラン、アフガン等中東への介入に二の足を踏み、ISとシリア対策も中途半端に推移したことが、逆効果となって不気味な国際テロが絶え間なく発生し、今やテロと国際政治のイタチゴッコと言うか、連鎖反応を生み、この一か月半の間に、エジプト、レバノン、フランス、マリ、チュニジアから米国本土にまで及んで、死者合算で5百人をも数える地獄絵が展開されるに至りました。
 14年前のアルカイーダによる同時多発テロは”点“に始まり、ビンラディン殺害を経てもテロの根絶はならず、むしろ”線“へと展開され、そこから分派した「ISIL」は、”カリフ制イスラムステイト“を自称、昨年建国宣言し、今やイラクからシリアに至る広域を実効支配し”面“へと勢力圏を拡大しております。
インターネットを通じたネットワークは移民や難民に紛れ込む”ローンウルフ“(一匹狼型のテロリスト)たちは、世界全域に及んで拡散しており、数年以内にはスペインと中国北西部(ウイグル地区)を占拠すると宣言しています。
しかもイラク都市部の銀行から略奪したキャッシュの他、油田を確保し、石油の横流しで得られる潤沢な財源(一説に月収約1億ドル)を確保しており、欧米露の空爆を受けても製油所を修理、生産再開させる人財と技術力も保持しているようです。
 資金力豊かなISによる局地的自爆テロのリスクは、いずれ生物化学兵器と核兵器にまで及び、狙いは”世界戦”だとみるインテリジェンス機関もあり、だとするなら、国連もG20も無力であり、アサド支持か反アサド支持かで割れている米欧とロシアのみならず、ウイグル危機を抱える中国やクルド族離反問題を抱えるトルコを交え、さらには、反ISのアラブ諸国が、この際“小異を捨てて大同に付く”ことで、ISの徹底的封じ込めを急ぐべきであって、軟弱オバマでなく、冷徹且つ勇猛果敢なプーチンのリーダーシップに期待する向きもあるのです。
 我が国の「会社や役所・学界の不祥事」は何故続くのか 会社の不祥事や業績低迷等、経営陣の無責任な舵取りと安易な弥縫策が絶えず、東芝、東洋ゴム、三井不動産と旭化成建材を含む請負会社群、シャープ等各社に共通する問題点は、企業の経営理念を逸脱し、社会的責任を欠く近視眼的な利益優先指向の犯すミスに起因するのではなかろうかと思われます。
その背景には、グローバル化した世界経済の下、アメリカ発の株主優先志向、しかも四半期ごとに業績を数値のみで査定する超短期的・近視眼的指弾が、我が国古来の伝統的経営使命観であった、顧客、従業員、取引先や所属地域社会を含む共存共栄の長期的戦略を破壊してきたことが第一の要因ではなかったかと思量致します。
 併せて、戦後のGHQ指示に基づき、その後の日教組主導による道徳教育の撤廃と、核家族化等による家庭内の躾の消失、併せて左派マスコミ主導の行き過ぎた個人主義、悪平等主義、社会規範の崩壊、その他受験戦争などが、多くの日本人を知識偏重、教養軽視型に貶め、道義心、公徳心、人間的器量を損ねて来たことが、会社経営者、従業員の総合的劣化を齎したと考える次第です。これは、会社員に留まらず、公務員、政界、芸能スポーツ界、各種団体から、学界・法曹界・医療機関(いわゆる士師一般専門職、聖職者、ジャーナリスト)など、社会全般にわたって、日本人の人徳、社会性、人間力を劣化させてしまっていることを痛感する次第です。
 子供から大人に至るまで、いじめ、ハラスメント、殺傷事件、誹謗中傷、詐欺・横領事件、責任転嫁等々が日常茶飯事化してしまって居り、問題の根が深いことに危惧を覚えます。
ここは、家庭、学校、職場、社会の各層、各場面における教育と相互の啓蒙活動を見直し、強化・拡充を急ぐ他に、解決策はなさそうです。
日本人が“真心と思いやり”を取戻し、個、家族、同体、地域社会から国家に至る蜜なる連携を強めることが出来れば、世界の日本を見る目が好転し、新リーダーへの期待値が高まる筈です。