ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)
第五十〇話:「IT業界の近未来と我が国の教育を考える」
2015/10/20
最終更新:2026-09-08
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アップルやマイクロソフトを初めとして、グーグル、フェイスブック、そしてアマゾンと米国西海岸発のITベンチャー企業が、今や圧倒的に世界をリードしております。 その主たる背景として思い付くのは、先ずはアメリカ人の文化風土に根差した建国精神に関わるフロンティア スピリット、即ち失敗を恐れず果敢にチャレンジする起業家魂が上げられます。 次いで経済構造上、充実したベンチャーサポート体制、投融資環境の充実とシリコンバレーを核とした産学協調体制、さらには世界の頭脳を集約できる開かれた移民政策などが考えられます。 尤もここへ来て、米国のIT産業の代表者たちが連名で、オバマ大統領あてに書簡を提出して、“中国”によるサイバー攻撃と違法性に関して強固な取り締まりを要請したように、オバマ軟弱外交の弊害が、IT業界の根幹を揺るがす事態が惹起され、今後の成り行きが注目されます。来年の米大統領選候補者にとって、この問題に対する方針の濃淡が問われるでしょう。 さて、日進月歩の激しいIT業界にも業績伸長の明暗が垣間見えるようになって来たようです。 既述のような大手先導企業群に対し、新興のベンチャーが続々と現れては急成長を遂げるという弱肉強食と言うか、下剋上とも言うべきか、投資家の期待に十分応えられる企業と、そうで無い企業間に大小を問わぬ序列の変動が起こりつつあるようです。 中でも最近、アルファベットと言う持ち株会社を設立して諸事業の再編を余儀なくされたグーグルは、Gメールやクロームと言った自社創作サービスに伸びを欠き、ユーチューブもアンドロイドも買収によるもので、全方位型の技術競争に苦戦を強いられていると報じられています。 それに対し、似たような広告依存型事業タイプのフェイスブックは、インターネットのモバイル対応で先行優位に立ち、欧米中心のスマートフォーンと言う主戦場で圧倒的な伸びを勝ち得ているそうです。 SNSによるユーザー層の把握は、広告対象を絞って効率を上げたいスポンサーの狙いに寄り添えるだけ有利に展開していると思われます。 グーグルが主導してきたネット検索による広告収入が、今後伸び悩むとみられ、それに輪をかけるのは、アマゾンとされ、検索をせず直接アマゾンサイトにアクセスして、欲しい商品を購入するという消費者行動の増加が決め手となりそうです。 アマゾンの快進撃は、無限の市場規模を持つと言われるクラウド事業の「AWS=アマゾン・ウェブ・サービス」を通じネット小売業界のトップを日々拡大するどころか、今や世界の超大手小売業界を震撼させつつあり、最大手のウォルマートや書店最大手バーンズアンドノーブルを初めとする各種専門小売最大手各社を次々と劣位に追い込みつつあるようです。 AWSのシステムは、短文投稿、口コミサイト、宿泊予約、タクシー配車、災害対応やネット動画配信などでお馴染みのITインフラの大規模情報ビジネスの急成長を担っているのです。 しかも高性能で利便性に優れ、低コスト、簡便性、多様なサービス付とくれば、鬼に金棒であり、あらゆるユーザー層の満足を勝ち得ているのが現状です。 クラウドサービスでの、AWSの圧倒的シェアーは約三割で、二位のマイクロソフト、三位のIBM,四位のグーグルの三社合計の二割強を大きくリードして、その成長率、利益率も抜群の成績を上げ続けているようです。 アマゾンCEOのジェフ・ペゾスは「わが社はテクノロジー企業だ」と言い続けて来たように、アマゾンは“単なるネット小売業”ではなく“多角的、攻撃的で創造的破壊事業”とでも命名できる異次元会社であると言うべきなのかもしれません。 おそらく世界のビジネスシーンを塗り替える可能性を秘めた注目企業だとも定義付けしても、過言ではないと思う次第です。 一方で、我が国を代表する超大手IT企業のソフトバンクには、このところ気がかりな点が見受けられます。 後継指名をしたアローラ副社長への165億円と言う法外な年俸の所以を取りざたされる一方で、米国通信子会社スプリントの業績悪化が加速しているそうだし、営業外収益源だった中国アリババの業績も悪化、先行き不透明となって来ており、インド、インドネシア、中国などでのEコマース投資も消耗戦を強いられていると報道されています。 特にスプリントが10年一昔も(買収後3年目ですが)赤字続きで、巨額の累積損失とシェアーの低下が重なり再建の目途が立たないばかりか、転売しようにも買い手もつかない窮状に陥っているのは、大きな心配の種ではないでしょうか。 こうした海外事業での相次ぐ惨状を糊塗する為なのかが疑われる自社株買いによる追加出資を繰り返す悪あがきぶりには危惧感を覚える次第です。 しかしながら、そのソフトバンクとは異なる発想によって生まれた日本発のITベンチャーに希望明るい新星が誕生したようで、むしろ、こちらの方が近未来へ向けた夢を大きく膨らませてくれそうです。 そのベンチャー企業とは、IoT通信チップを開発製造し、日本国内メーカーとの用途開拓を進めつつ、世界へ向けた営業に取り組んでいるコネクトフリー社です。 IoT=Internet Of Thingsとは、あらゆるモノとモノがネットワークにつながり、相互に自律的な交信や作動の調整、管理を行う結果、機器の効率が飛躍的に上がるというものだそうで、こうした世界での革新性をいち早く発見したのがコネクトフリーなのです。 同社創業者の在日米国人テイト・クリストファー(和名:帝都久利寿)CEOは「IoTの伝道師」と呼ばれ「メイド・イン・ジャパンの救世主」とも言えるお方で、同社の誕生こそ、モノ造りと言う観点からも日本の産業立国再生の一大チャンスが到来しているとも言えそうです。 (ボイス誌より)ソフトバンクの言うように「一人が千台のデバイスを持ち、インターネットにつながる」といった考え方ではなく、IoTの本質はモノと結びついた機能にあり、社会全体がデバイスを共有できる、即ち、皆が社会インフラとしてのIoTを活用するという発想なのです。 たとえば、ビルや道路、ガス・水道の安全管理を自律的に行えるようになるそうです。 これまでのインターネットでは、安全上、サーバーを介する接続が必要でコストもかかりましたが、コネクトフリーのIoT通信チップは、第三者のサーバーを介さず、DNAや指紋識別のように個人認証が出来る仕組みなので、よりセキュリティの高いコミュニケーションが可能となるようです。 ところで、IT業界のリーダーたちは、いずれもが米国が生んだベンチャー起業家ばかりです。 ビル・ゲイツ、ステーブ・ジョブズ、ジェフ・ペゾス、セルゲイ・ブリン、マーク・ザッカーバーグ達であり、そして留学の孫正義にしても、日本で起業し帰化を希望しているテイト・クリストファーにしても、米国の“レーガン教育改革の申し子たち”であると言うのが共通点です。 そのレーガン教育改革とは、米国製造業が70年代から日本企業群に次々と敗退しつつあったのは、それまでの“ゆとり教育”の弊害だと断定し、日本の修身(道徳教育)、寺子屋や私塾教育方式、武士道、偉人伝記、教育勅語などのあらゆる長所を取り入れた伝統的日本教育方式で(教育担当官ベネット著の「道徳読本=Book Of Virtue」参照方) それがシリコンバレーやウォールストリートの新興実業家たちを生み出した起爆剤となった訳です。 一方で当時の日本では、文部省や教育関係者たちが、レーガンが失敗だと決めつけた「米国でのゆとり教育」を日本へ取り入れてしまうと言う愚を犯し、その結果、人材育成の道を誤り、おそらくは90年代以降の産業低迷の一要因になったとされるどころか、昨今の小保方コピペ論文、佐村河内ゴーストライター、佐野デザイン事件や数々の社会的・職業的・家庭的・個人的“非道徳”事象を生んでしまっている負の遺産の遠因となっているとも言えそうです。 目下、ノーベル賞の自然科学部門で、日本の科学技術者たちの受賞が大いなる成果を上げておりますが、近未来的には、受賞候補者が底をついてしまうのではないかと危惧する有識者が増えて居ります。 百害あって一利なしの“ゆとり教育”こそ、やっと切り替えつつあるようですが、相変わらず、悪平等主義(機会の平等ではなく、差別、区別、格差を容認しない結果の平等を重視すると言う誤った思考)の教育通念が未だ残存し、家庭内、近隣社会、職場内での躾と徳育など、日本古来の良き伝統がことごとく捨て去られ、軽視されている現状を憂えるものです。 ここは、レーガン教育改革が米国の教育省庁に任せずに“国家として総合的に取り組んだ”ことで成果を出したことを真摯に受け止め、我が国の教育改革も、愚策の多い文部科学省の管轄から国家的な取り組みへと、早急な見直しが肝要かと考えます。 なお、米国のIT業界のカリスマたちの出自を見ると、シリア系のジョブズ、キューバ系のペゾス、ロシア系のブリン、ユダヤ系のザッカーバーグ、フランス系のオミダイヤ(イーベイ)、英国系のゲイツやクリストファーさらにはノーベル賞の受賞者たちを眺めても、その7割もが移民一世か二世であることに鑑み、我が国においても、低賃金労務者を念頭に置いた移民政策を早急に見直し、既述のクリストファーのように日本の技術力と国民文化や自然を愛し、帰化を切望するような外人をもっと多く受け入れ易くなるように、知的労働者や起業家、経営者や学術研究者、芸術家等の招聘に尽力すべきだと提言致します。 |
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