ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)
第四十六話:「安倍首相の訪米と議会演説の効果」
14回にも及ぶ総立ちの大喝采
2015/05/13
最終更新:2026-09-08
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20世紀末期の東西冷戦の終結を境にして、21世紀型の新型国際秩序は、19世紀型の軍事力と言うハードパワーを前面にぶつけ合うことなく、経済や文化交流等を通じたソフトパワーで包み込んだ国家総合力を背景に、対話や関与で国際紛争を解決するという、やや楽観的と言うか、曖昧模糊とした政治論が席巻して、その主体が米欧を中心とした自由経済先進諸国であり、日本もその仲間に取り込まれてきました。ところが、ここへ来て、欧米の経済減退や内政コスト増をカバーするための防衛費削減の流れが相次いだ一方で、BRICSブームで経済の活性化を得た「東=旧共産圏」陣営の大国・ロシアと中国は、軍事費を急増させると共に、米欧日の弱腰外交を見据えた上で、時代の流れを逆流させる19世紀型の「力で国際秩序を変えようとする脅威の地政学」戦略を実行するに至ったのが現状です。特にオバマ政権による内政破たん、「世界の警察官をやめる」との無益な発言と中東外交の失敗が、米国のパワーを劣化させ、一方でEU・ユーロ経済の失墜とNATO軍事力の弱化が、中国とロシアを殊更増長させる主な要因となったことは現実でしょう。 現に、クリミア併合とか南沙・西沙諸島の領海侵犯と南シナ海の軍事基地建設に向けたフィリピン領海の埋立て工事などは、明白な国際法違反であるに関わらず、露中に対する国連や欧米主要国の遠吠えは、何ら抑止力効果を果たしていません。 風下に立たされるのは、日本も例外ではありません。中国の尖閣諸島他への領海・領空侵犯は止むことなく、かてて加えて、韓国や国連を抱き込んでの執拗な歴史戦を仕掛けてきたり、甘言で我が国企業の中国進出を持ちかけておきながら、いったん踏み出した挙句は、弱みに付け込んだり、ノウハウや機密開示を拒絶するや、嫌がらせ的な法や税の過重な適用等で事業妨害を展開しているようです。 こうした状況下における、安倍首相の訪米・オバマ大統領との首脳会談と我が国首相として史上初の上下両院議会における演説の機会を得たことは、当にベストタイミングであったし、総じて好意的だった世界における事後の反響報道を見ても、反対に中国や韓国が思惑外れに慌てた反論の具合を見ても、極めて大きな成果を得たものと捉えて良さそうです。 少なくとも、グロテスクな近代型地政学に逆戻りして、国際秩序を破壊せんとしている中露に比して、現代的国際政治の常道を歩む安定した主権国家としての日本が、米国にとって最も信頼できるパートナーであり続けることを確認・自負し、「強い日米同盟は地域と世界の利益である」と唱えた首相の言は当に正論であると思量致します。 今般、特に気付いたことですが、通常は極めてビジネスライクな応答を常とするオバマ大統領が、極めて異例ともいえる豹変ぶりを見せ「お互いの為に」などと、日本語を多用しつつ俳句まで織り込んで、安倍首相と日本への敬意を表したことで、やはり「安保と経済協力を通じた同盟強化の訴求」に対する高評価の表れだったろうかと思われます。特に、このところ対ロシアを始め中東問題に悩まされ、欧州との外交も微妙な位置関係にある中で、中国の度重なるゴリ押しに嫌気がさしていた上に、イスラエル、サウジアラビアと言った旧来の同盟国関係までおかしくしてしまって孤独感にさいなまれていた矢先のオバマ大統領にとっては、安倍会談と議会演説は、文字通り「干天に慈雨」の恵みであったのでしょう。 中国が仕掛けたAIIBによる日米分断策に日本が乗らず、逆に欧州勢、豪州、韓国などが安保を絡めた主敵中国の誘惑に相乗りしてしまった裏切り行為に痺れを切らせていた米国政府だけに、よほど安倍日本への信用度を高めたものと考えられます。 併せて、アメリカ上下両院総勢5百名強の連邦議員や特別参列者たちの、安倍演説に対する反応が画期的に良好だったことも、特筆に値します。 これまでの他国大統領や首相演説を超える類い稀なる好意的な反響ぶりが、45分のスピーチの間に、「14回にも及ぶ総立ちの大喝采」と「35回も繰り返された拍手」の回数が証明してくれました。 安倍演説で特に評価されたのは、欧米人に対するスピーチには“Must”とされるユーモアとジョークをうまく織り込んだこと、ペリーやリンカーンを持ち出し、日米関係史と民主主義に関する所感を率直に述べたこと、先の大戦に関し犠牲となった米兵への深い哀悼の辞を捧げて対米を優先し、併せてアジア各地に与えた苦痛を直視し痛切な反省と悔悟を表したこと、「法の支配・人権・自由の価値観を共有する国家」であり続け、「国際協調主義に基づく積極的平和主義」を新しい旗印とすること、併せて日米防衛協力の新しいガイドラインやTPPを共に進めることなどを言明し、最後に「米国最大最善の資産は世界に与える“希望”である」とアメリカを讃え、そのアメリカと「希望の同志として一緒に力を合わせ、日本もこれまで以上に責任を全うしたい」と未来志向で結んだことに尽きると思います。これまで、中韓を中心に反日メディアが世界(特に米国)へ向け、安倍首相を歴史修正主義者とか、右翼ナショナリストと言った決めつけるキャンペーンを張ってきましたが、今般の演説を目の当たりにした米連邦議員や万国のメディアの多くは、“安倍イメージを一新させられた”と口をそろえて語ったことも、大成果に含めてよいと思います。 いくつかの著名人コメントを拾って列記しておきます。 バイデン副大統領「極めて巧みな意義深い演説。アジア諸国に対して痛切な反省と責任を明確にしたことを評価し、好感を持った」 ベイナー下院議長「日米関係の 歴史的行事を受け持つことは光栄だ。 転機となるスピーチ」 ガードナー上院外交委員「貿易・安保拡大路線は歴史的演説と評価」 マケイン上院議員「日本で久しぶりに強い指導者から安定 的政策が表明された。 安保新ガイドラインは大歓迎。強く支持する」 モンデール元駐日大使「素晴らしい。A+評価だ」 元レーガン大統領のスピーチライターだったラルッカー議員 「最も素晴らしいスピーチ。 卑屈でない反省がよかった。 A+評価」カーター国防長官「リバランスとTPPの前進は、さらなる一隻の空母並みに重要だ」等々が前向きな評価でした。 もちろん、ネガティブなコメントも発せられましたが、ホンダ下院議員曰く「性奴隷への謝罪もなく、恥ずべき演説だ」に代表され、ほぼ共通の反日コメントの繰り返しに終始し、複数の有識者から「中韓サイドからの一方的歴史主張は病的なプロパガンダに満ち、うんざりだ。 安倍の悔悟表明で十分だし、未来志向こそ正論だ」といった反論を受けております。 他にも、「安倍は歴史修正主義者ではなく、歴史直視者の印象を受けた」とか「未来思考の平和主義者だ」「フェアーでダイナミックで持続可能な市場経済論者だ」といった好意的な論評が多く見られました。 最後に米国大手のピューリサーチ社による日米アジア関係調査レポートから、最近のデータをご紹介しておきます。 米国人の日本に対する信用度は68%、対中国は30%、対韓国は49%となっており、日米関係がより重要と思う人は60%、日本の軍事的役割分担を期待するが42%と出ています。 総じて、「日本は最も先進的で高級なアジア国家だと認識」されているようです。 もう一点、アメリカ人の旧友からの最近情報を付け加えておきます。ブルッキング研究所のブッシュ所長が「日米、日中、日韓の歴史認識は其々まったく別個のものだ。米国内で行われる課題は米国人に対してなされるべきこと。 それが日米固有の問題だ。中韓が米国内で、米国とは無関係な課題で騒ぐのは、お節介なことだ。アジアの平和は、日米同盟が六十有余年間守ってきた。中国との間には、経済、サイバー、宇宙、海洋、安保など、大問題が現存している」と言った趣旨の談話を発し、これに対し中国や韓国が声高のクレームをつけているそうです。これに対しても、今般の安倍演説がある種の名回答を与えてくれたと思われるし、何より、多くのアメリカ人が「アジアで最も頼りになるのは日本だ」と評価してくれていることに応える為にも、安倍内閣が外交政策において日本を立て直すべく、なお一層前向きな取り組みを進め、「日米協調による世界の希望実現」を達成して頂きたいものです。 |
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