感染症の海外ニュースと解説

デング熱脳炎感染者は世界で1億人を超える:
25万人は危険なデング出血熱

2018/04/21
最終更新:2026-09-14
インドネシアでは広範囲な地域にデング出血熱(dengue hemorrhagic fever:DHF)の増勢が続いていますが、デング熱はアジア、南米の熱帯、亜熱帯で広範囲に蔓延する、蚊が媒介する動物由来感染症の脳炎。
古い話となりましたが、日本でも2014年8月下旬に東京都の代々木公園でデング熱に感染した男女が確認されています。
インフルエンザの症状に酷似していますが、高齢者、幼児や免疫力が低下している感染者は苦しく、重い症状となり後遺症で脳障害がおきることがあります。
また感染症は発がんの引き金となることが珍しくありません。

インドネシア、インドなどからの帰国者が感染していた例は珍しくありませんがウィルスを保持する蚊が空港や港ではなく都心の大公園に棲息していたのも温暖化の影響でしょう。
デング、日本脳炎、ウェストナイルウィルスなど脳障害に発展するケースが恐れられるフィラビウィルス脳炎類は人により発症程度は様々。
ウィルス保持蚊に刺されても全く発症しない人がたくさんいます。
東京都の代々木公園で感染、発症した例では医療機関経由の報告に限れば10人が確認されていますが、実際にはその何倍もということが考えられます。
温暖化が進む日本がいよいよ首都圏まで亜熱帯となってしまった証でしょうか。

2015年ノーベル賞:大村智博士らが救う熱帯感染症に脅かされる2.6億人http://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=141
 2015年ノーベル賞:Tu youyou博士の発見したマラリア特効薬アルテミシニンhttp://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=300
 

1.インドネシアで蔓延したデング熱ウィルス日本人好みの観光地バリ島からの帰国者が感染しているケースが2002年頃より多発したため、日本の国立感染症研究所が警告を発した最初は2004年。
この時に紹介されたWHOとインドネシア厚生省より公表された数字は、2004年1月1日から2月26日までの期間で感染者が14,626人。
死者は260人でしたが、3月3日には感染者23,857人、死者367人となりました。
感染地として、ジャワ島(Java:首都ジャカルタが所在する。人口の60%が居住)、南カリマンタン(South Kalimantan:ボルネオ島)、南スラウェシ島(South Sulawesi)、バリ島(Bali)、東西のヌサ島(East and West Nusa)、チモール島のテンガラ(トゥンガラ)(Tenggara)、スマトラ島のアチェ(Aceh)など広範囲な地域。2.デング熱(dengue fever):フラビウィルス科(flavivirus)
ウィルス保持蚊に刺され、デング熱に感染した患者が帰省や旅行で遠隔地へ移動、そこで再度、蚊に刺されると発生地が広く拡大することになります。

デング熱は熱帯の蚊が媒介するウィルス感染脳炎の風土病。
熱帯の蚊(Aedes aegypti:ネッタイシマカ)や日本に生息する通称薮蚊(ヤブカ)の(Aedes albopictu:ヒトスジシマカ)によって媒介されるフラビウィルス科(flavivirus)のズウノティック感染症(zoonotic disease:動物由来感染症)。

WHOの蚊撲滅キャンペーン・シンボル

第2次世界大戦末期の1940年代に西日本や沖縄などで数万人の感染者が発生したと伝えられていますが、その後は汚染地からの帰国者を除いて発生はみられませんでした。
汚染地では感染者が非常に多く、通常は軽症の血清タイプ1型で、インフルエンザ様の症状が見られる程度で収まることがほとんど。
ただしデング熱既往症があると、はるかに重篤な症状のデング出血熱(dengue hemorrhagic fever:DHF)感染の確率が高くなるといわれます。

蚊によるズウノティックは動物由来感染症(animal borne disease)ともいわれ、最大脅威のマラリア(Malaria)のほか、主要なものにはウェストナイルウィルス、日本脳炎、黄熱病、セントルイス脳炎、チクングニア熱などがあります。

デング熱ウィルス(dengue virus)の血清タイプ(serotypes)には4種類ありますが、インドネシアの流行で検出されたのは軽症のタイプ3(DEN-3)が大部分でした。
フラビウイルス脳炎類はいずれも倦怠感、悪心、悪寒、40度前後の高熱が急激に起こり、タイプ3の初期症状では咳、咽頭痛、腹痛、嘔吐、下痢等を併発することがあります。
ただし、健康で抵抗力の強い人は発症しないか、インフルエンザと誤認することがほとんどといわれます。
発症した場合はのた打ち回るほどの体の痛みを感じるようですが、本当に怖いのは重症となるデング出血熱に感染しやすくなることと、後遺症が脳障害や癌発症につながることです。3.デング出血熱(dengue hemorrhagic fever):フラビウィルス科(flavivirus)デング出血熱は潜伏期間3-7日間で、血漿漏出、腹水、胸水、肝臓膨張などがみられ、死亡率も格段と高くなります。
データのある2004年当時で数百を超える異種株(strain)が出現していました。
アジア、中南米では5年ぐらいを周期として多発し、特に平年より平均温度が摂氏2度くらい高い年に、重篤な症状となるデング出血熱の流行(epidemics)が見られるといわれます。4. デング熱にはアセトアミノフェン系解熱鎮痛剤解熱鎮痛剤が有効ですがサリチル酸系統(アスピリン、バファリンなど)
ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸(商品名:ボルタレン、ポンタール)
は脳を傷つけて急性ウイルス性脳症や アシドーシス(体液が過度に酸化する状態)を助長することから、避けるべきとされています。
これはインフルエンザ・ウィルスでの発熱時も同様です。
日本ではアセトアミノフェン系が最もお薦め。
純粋なアセトアミノフェン系はカロナール、タイレノールが代表的な医薬品名。
ノーシン(商品名)、PL顆粒もアセトアミノフェン系ですが少量のエテンザミドなどサリチル酸系が含まれます。
アセトアミノフェン系300㎎が標準ですから即効性に欠けており、ロキソニンが処方されることが多いですが、安全とされてきたロキソニンも無菌性髄膜炎発症の疑いが濃いとの報告があります。
(国立感染症研究所)5.デング熱ウィルスは変異を繰り返す周期があるのは、インフルエンザのように遺伝子が多様に変化して異種株(strain)を創りながら流行するため。
1998年に東南アジア、中南米56カ国で、120万人がデング出血熱に感染した記録があり、ミャンマーでは毎年5,000人から15,000人くらいのデング出血熱発生が見られるとのことです。

デング熱が発見されたのは200年以上前ですが、最近では、世界中で、毎年1億人以上の感染者がいるといわれ、重篤な症状となるデング出血熱(dengue hemorrhagic fever,:DHF)は毎年おおよそデング熱1億人に対し25万人の比率だそうです。
デング出血熱は東南アジア、中南米のみならず、オーストラリア、インド、アフリカ、ハワイ、中国、台湾など、蚊が生息できる熱帯地方では、何処でも発生する可能性があると考えてよいと思います。


          デング熱の発生地と発生中心地(2004年現在で確認できた地域)6.デング熱、デング出血熱の防御対策蚊を防ぐことが一番。
軍用に防虫剤を研究している米国では、この蚊にはDEET(ディート:N,N-ジエチル-m-トルアミド:N,N-diethyl-m-toluamide)が最も効果があると発表しています。
日本でも「虫除けジェル、スプレー」はほとんどディートですが低濃度のものが使用されています。
DEET(ディート)は安価で効果的なため、防虫剤として世界に普及しており、インドネシアのケースでも、50%濃度のDEET(ディート)が推奨されています(ただしこの濃度は噴霧用です。米国では主として軍隊が使用します。
塗布用は子供で10%、成人で33%くらいが適当といわれます)。
 
米国では蚊、マダニ対策には25%濃度を使用する人も少なくありません。

DEET(ディート)は揮発性であるために使用時間と薬効持続時間を考えて使用する必要があり、一般的に低濃度のものほど早く効果が失せます。
ただし、濃度が高いと毒性が低いとは言えず、肌に直接使用するものは、神経障害、皮膚障害などを起こすことがあるとの報告があります。
東南アジアや米国では100%濃度の殺虫剤も市販されていますから、使用前に含有濃度のチェックをしてください。
 
米国で一般的なディート・スプレー.濃度は15%.(購入:テキサス州ヒューストン)
ウェストナイルウィルス保持蚊追放と表示されている.
日本のディート・スプレーはジョンソン社製で濃度9.75%

「デング熱から身を護る: 殺虫剤の生態系破壊に日米の思想相違が」https://botanicals.co.jp/library_view.php?library_num=350
 

7.新殺虫剤ピペリン「SS220」の開発イラク、パキスタン、アフリカなどの紛争地域では、蚊を原因とするフラビウィルス(flavivirus)の流行が多発するため、米国国防省のウォルター・リード陸軍研究所(Walter Reed Army Institute of Research:WRAIR)では毒性の低い殺虫剤の開発が進められています。
有力な製品として、50年ほど前に開発された黒胡椒 (Piper nigrum:black pepper)や ヒハツ(畢撥:Piper longum:long pepper),などのアルカロイド成分ピペリン(piperine)を原材料とする「SS220」などが候補として挙げられています。
この成分は黒胡椒に最も多く含有されますが、環境適合性、安全性、コスト面での検討が進められてきました。8.防虫繊維スコーロンの開発衣料品に関しては、蚊を防御できる繊維(ブランド名スコーロン)が2004 年度春夏シーズン頃から発売されています。
アジア、南米などに旅行機会が多い方は利用されるとよいかもしれませんが殺虫剤を常時着衣するわけですから安全性は自己責任で考慮すべきです。
価格は安くはありません。
スコーロン(SCORON)は繊維有機エステル系殺虫剤を使用した防虫繊維。
帝人ネステックス株式会社、アース製薬株式会社の協同開発商品。
現在は「全国のフォックスファイヤー取扱店」と「Foxfire Store」(直営店)が登山、渓流釣りなど野外活動用のスポーツウェア―を発売しています。9.(参考)ウェストナイルウィルス(West Nile virus):フラビウィルス科(flavivirus)ウェストナイルウィルスは1937年にウガンダのウェストナイル地方で熱病の婦人より発見されました。
デング熱、日本脳炎、黄熱病などと同類の、蚊(Aedes aegypyi)が媒介するフラビウイルス脳炎の仲間。
1957年にはイスラエルで流行し、世界に知られるようになりましたが、米国で最初に報告されたのは1999年です。
ウェストナイルウィルスはインフルエンザと症状が似ているため、発症に気がつかない方も多いようですが、ウィルスは抗生物質が効かないために、 対処する方法がなく、米国では老人や、乳児を中心に150人以上の死者が報告されています。
 ニューヨークなど温帯地方では11月になれば自然に発生が低下するといわれていますが、 フロリダなど南部地方は冬季もゴルフなど屋外スポーツには注意が必要です。
日本では2002年になってから幾つかのメディアで採り上げられるようになりましたがいまだ発見されていません。
2008年10月18日に厚生労働省はウェストナイルウィルスを四類感染症に指定しました。
平成11年4月に施行された感染症予防法により四類は医師に感染者の発生を届け出る義務が生じます。10.(参考)日本脳炎(Japanese encephalitis):フラビウィルス科(flavivirus)日本脳炎は1966年前後数年間に約3,700人の患者が発生し、1,500人以上の死者が出ました。
1972年頃から急減して現在は死者の報告もほとんどありませんが東南アジア諸国ではいまだに流行しており、感染者は数万人、死者も1万人を超えると推計されています。
重症となると致死率が5割を超え、後遺症がのこるようですから危険なウィルスです。
豚が感染し、豚から蚊経由で感染が広がるようですから豚の多い地域の蚊には注意が必要。

フラビウイルス脳炎類はいずれも倦怠感、悪心、悪寒、40℃前後の高熱が急激に起こり、インフルエンザと誤解されることが多いようです。
その他、初期症状には咳、咽頭痛、腹痛、嘔吐、下痢等を併発することがあります。
体が弱って、抵抗力が小さい人の場合には、高熱に続いて、髄膜炎症状、意識障害、 痙攣・めまい等の神経症状、脳炎症状、蛋白尿・膿尿といった泌尿器系障害などを発生させることがあります。

初版:2004年03月20日改訂版:2009年7月改訂版:2016年8月改訂版:2018年4月「ブドウレスベラトロールが防御する微生物感染症:免疫細胞強化ペプチドのカテリシジンを活性化」
 天然のブドウレスべラトロールは白血球内抗微生物蛋白カテリシジンを活性化します。
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