ケン幸田の世事・雑学閑談(千思万考)

第十五話:「国境なき環境問題について、もっと対外発信するべし」

2014/04/23
最終更新:2026-09-08

目下、環境問題と言えば地球温暖化対策ばかりが報じられ、温暖化ガスの排出量の削減目標や、欧米の金融業者・経済学者らの提唱する排出量取引などが話題を呼ぶだけで、その主役はCO2に限った論議が殆どですが、これには大いなる疑問を感じています。
まず、温暖化を決めつけるデータ源が、北半球の一部地域の気温のみで、山頂の雪が解けたとか、北極海の氷が解けたとかの、精々数年、数十年程度の現象を捉えた報告に過ぎません。
中には「海氷が解けて、海水面が上昇した」等と、ふざけたような記事やコメントをあちこちで見かけるたびに、世の中の常識・良識はいったいどこへ消えてしまったのかと思わざるを得ません。
氷の体積が水より大きいことは、理科好きの小中学生でも良く知っているように、氷が解けたなら海面は下がる筈でしょう。
こうした素人的思い込みや、気象学者の短期的データ盲信、あるいはそれに乗っかって、排出量の+-を、国家や企業間の取引材料にして商売ネタにしようと企む金融筋の不逞な輩などに対し、大きく異を唱える良識派が最近増えてきたことを逆に喜ばしく思う次第です。
 良識派とは、地質学者や天文学者、考古学者等の科学者たちと、教養豊かな文化人、歴史家等のことで、彼ら国際的発信者たちが言うには、地球の歴史は生物誕生後でも32億年、人類誕生後でも百万年も過ぎており、およそ温暖化と氷河期の周期は10万年ぐらいの周期を繰り返してきた訳で、高が50年百年の地上データだけで、地球の温暖化を唱えるのはナンセンスだと決めつけています。
地球の寒暖に最大の影響力を持つのは、太陽黒点の変動に伴う太陽熱量の多寡であって、その周期はおよそ11~13年周期で軽度な変化を、数百年~千年単位で中程度の変化を、10万年単位で最大の変化をもたらすのだそうです。
そうした議論の一方で、最近医者や生理学者たちが、日本におけるマスコミ報道のピント外れを指摘されるようになって来ました。
温暖化の主犯CO2とか、原発事故による軽度な放射能漏れなどを取り立てて騒いでいるが、それよりも喫緊の問題として、人体健康に影響を及ぼすと考えられるのは、大気に含まれる有毒なチリ(PM2.5)ではなかろうかと言う問題提起です。
 その一例として現代病ともいえる花粉症を取り上げてみましょう。
この命名から、花粉が主犯のように思われますが、少なくとも昔の人たちにも、花粉が飛び交う中で仕事をされる林業関係者などが、常時花粉症になったと言う話など聞いたことがありません。
花粉症が騒がれ始めたのは、火力発電や各種製造(おもに化学)工業、焼却炉、冷暖房器、ストーブや自動車などの排気ガスによる大気の汚染が始まってからと考えるとある程度犯人像が見えてきます。
思うに、汚染された大気中の超微粒化学物質が花粉に取りつき、それが人体の粘膜を刺激して起こすのが花粉症ではないかと考えると腑に落ちる訳です。
我が国の場合、戦後の経済成長の過程で、四日市や主要工業地帯の煙害が多くの健康被害を起こして社会問題となりましたが、その後の我が国は、あらゆる技術力を駆使し、基本的には諸々の公害対策を講じてきました。
自動車の排気ガスに関しても、随分改善はされてきたはずです。
それでも、花粉症はなかなか減らないのが現状です。
 ここで問題となるのは、果たして大気問題は一国だけの努力で完結するのかと問われれば、答えは簡単で、大気の移動はボーダーレスであること、殊に偏西風の影響を受ける東に位置する国々は西側諸国の大気を、良くも悪くも諸に受けざるを得ないことに気付きます。
日本の場合、中国、韓国、北朝鮮、ロシアと大気をほぼ共有せざるを得ないわけです。
そこで殊更気になるのは、中国から飛来する黄砂や最近急増しているPM2.5の影響です。
(PM2.5とは、髪の毛の直径40分の1以下の超微粒子状汚染物質のことで、大気1立方米あたり250マイクログラムを超えると、重度の要警戒汚染とされる。)
殊に中国における去る1月のデータは、恐るべき最悪の数値を示し、月間15日以上が重度汚染に見舞われ、その平均が何と500[重度汚染の2倍]に達し、最悪日は当に想定外の700を越えたそうで(重度3倍汚染)にも及んだようです。
因みに日本の警戒重度は中国の250に対し、わずか35らしいが、中国の影響でどこまで悪化したのかは寡聞にして手元に数字を得ません。
ひょっとして対中遠慮から公表を憚ったのではないでしょうか。
 PM2.5の第一次成分は石炭燃焼の煤塵と亜硫酸ガスで、これらが大気で冷却され化学変化してスモッグ化したものが二次成分で、これは軽いので風に乗って国境・海峡を越えて長距離を飛行するようです。
1月の汚染拡販は北京、天津など中国中部から東北部にかけて広くおよび、インターネット情報により差はあるものの中国人6億人から8億人に何らかの健康被害を与え、内1万人ほどは、呼吸障害や気管枝・肺疾患等で死に至ったそうです。
(尤も中国の国営メディアは本件に関し内政混乱を畏れ、無視を決め込んだので、香港や欧米メディアは、これだけの脅威に至るまで対策を怠った政財界に怒りの声を連発していました。)
九州大学の研究所によって発表された中国の大気汚染影響度図示データをみると、中国本土の空気汚染(黒い影)は、九州と山口は勿論、本州の日本海側から北海道西岸まで、日本の大半が黒と濃い灰色で覆われていましたから、これは日本としても看過すべき問題じゃないと思います。
マスコミの報道義務怠慢を問い正したい思いです。
 日本人が花粉症に悩まされているどころか、このまま中国の大気汚染対策がなされないと、さらに車が増え、家庭用エアコンなどの普及を想定すると、益々汚染度の高いPM2.5が日本全国へ流れ込み、重症呼吸器疾患か死者まで心配されることになってしまいます。
目下、南京事件、尖閣、靖国、企業賠償など、中国側の一方的強硬施策や強がり発言など諸問題ばかりで、「中国に物申す」のが憚られるタイミングですが、ここは声を大にして、日本国民の健康維持を至上命題として、医学界、産業界を前衛に、厚生省、外務省を中衛に、政府が後裔として、対中抗議並びに日本の公害対策技術協力姿勢を強く訴求すべきだと考えます。
「沈黙は金・雄弁は銀」と言う日本人は多く、“言挙げしない”のは日本人の美徳である、敢えて強弁しないのが奥ゆかしい日本人だと思う人が多いのが気がかりですが、今こそ「正論で立ち向かう」必要性があります。
因みに、ドイツが“銀本位”制の時に出来た言葉が、「雄弁は銀」であり、金本位制以降なら(そして英米の常識も)「雄弁は金」が正解なのですから、今こそ言挙げする日本人が、求められています。
 現下のグローバル時代にあって、正しい自己主張も満足にできない日本の国際情報戦略が中韓対応のみならず、国際的に大きく後れを取っている最大の要因は、外交の失政、特に「パブリック・ディプロマシー」と言われる「公共広報宣伝外交」の稚拙さに行き着きます。対米外交例一つ取り上げても、東京が経済都市NYと姉妹都市関係にあるのに対し、北京もソウルも政治の中枢ワシントンDCと姉妹関係を結んでおります。
米国やフランス文化会館は、ほとんどの国の大都市にあり活況を呈して観光や国家のPR効果を発揮しているのに、日本の文化会館の質も量もあまりにも貧弱です。国家的存在感をアッピールし、イメージを競い合う国家ゲームに勝利するには、政官民挙げての対外広報宣伝をもっと強化し、人的文化的交流を含めたグローバル広報の強化拡充に徹すべきなのです。
 環境問題の延長線上には、世界人口の急増と食料・資源問題(転じてクジラ漁と漁獲量の相関性の論議提起や原発と火力発電の環境保全論議)もあり、今般の熊本の鳥インフルが韓国のH5N8型に類似しており、渡り鳥が運んだ疑いも出ているように、また中国には鳥インフル以外にも多くの動物から人へのインフルや疫病が流行っていることなど、対中韓のみならず、世界保健機関等に向けた防染施策の訴えも強化して行かなければなりません。
最近外務省から発表された香港の調査会社によるASEAN7か国の世論調査の結果によると、重要なパートナーの一位は日本(65%)で、前回調査の第一位中国、今回は二位(48%)を逆転したと言うから、とても勇気付けられる情報です。
また、最も信頼できる国でも、日本がトップ(33%)で、二位米国(16%)でした。
因みに、中国は5%、韓国は2%と両国は極めて低い評価しか得られていません。
いつまでも中韓を言いたい放題にしておかずに、積極的なパブリック・ディプロマシイを展開するのは、“何時やるか? 今でしょ!”との流行り言葉で本稿を閉じます。